春よ来い!


冬、世界は灰色になってしまうけれど・・・・オレンジ色の灯りはいっそうきれいに見えます。ちょっとさみしくも、きれいに光って。

デンマークに来たばかりの時。友達も最初なかなか出来ず、さみしかったとき、メキシコから来たアンナちゃんという会社の同僚の女の子が教えてくれま した。デンマークの人は、デンマークの建物みたいだと思うの。石造りで、きれいにしっかりつくられているけれど、中に入り込むのはなかなか難しいような冷 たさを感じる・・・でも、ひとたびそのドアを開けたら、オレンジ色の灯りの居心地よくてあったかい部屋が迎えてくれるのよね。

そのとき、なるほど・・・と思い、励まされました。アンナちゃんはメキシコに帰ってしまったけど、ヤコブが航海中の数ヶ月の間、よくお互いの家に遊びに行って映画を見たり、恋話をしたり。たくさん励ましてくれた仲良しです。

ま た、リンダちゃんという、オーストラリアから来た女の子は、いつもとてもきれいな色のワンピースを着ていて、くるくるの赤毛の髪と似合ってすごく素敵でし た。彼女は、Pretty dress club きれいなワンピースの会、というのを作って(といってもリンダちゃんと私の2人だけだったけど。笑)灰色の冬だからこそ、きれいな色を着ると元気になるの よ、と教えてくれました。リンダちゃんもオーストラリアに帰ってしまったけれど、帰るときに、めぐみが次期会長、と任命していってくれました。笑

仲良しの女の子たちがみんな帰ってしまったのは、勤めていた会社の、駐在の任期が2年だったからなのでした。友達になってもさよならなのはさみしいけれど、今はインターネットがあるので、メールは一瞬で届くし、本当に世界に手を伸ばせば届くようなのが、嬉しいことです。

そんなふうに、みんないろいろな工夫をしたり、ただ受け止めて参ってしまう人もいる、灰色の冬。

そんな冬のあとの春は、世界に色が帰ってくるとき・・・! 今はまだ、春ってどんなだったか覚えていないくらい、灰色の世界に慣れてしまっているけれど・・・去年の春の写真たちを見つけて、思いを馳せました。

当 時勤めていた会社で、私と同じく駐在員の後輩が、日本に冬の終わりに里帰りして、春の初めにコペンハーゲンに帰ってきたとたん、世界に色がついていること に感激!?(笑)して、人々もなんだか明るくなったのを感じ、"めぐさん、みんななんかハイテンションじゃないすか!?"なんて言っていたのを思い出しま す。本当に、太陽があることがこんなに嬉しいことだなんて、知りませんでした。2年前に、ヤコブと日本につかの間里帰りしたとき・・・12月の東京は太陽 が明るくて、成田空港から出て、電車に乗っている間、2人でしきりに、陽の光だねえ・・・!とうれしくてため息のように言っていました。デンマークの初夏 みたいだ、とヤコブ。

でも、3月の半ばになると、日照時間はデンマークのほうが東京より長くなるそう・・・・そのときにはきっと、ぷっくりと可愛いクロッカスがそこらじゅうにぽこぽこ咲いて、春が来た!と教えてくれるようです。今から、そんなときが楽しみ・・・・

お店にもこんなふうに春がやってきて・・・・。

イースターのたまごもころんと並んでいたっけ。

クロッカスの道。

ここは昔、防空壕があったところ。いまでも、防空壕の跡がこんもり小さな丘になって、コンクリートの入り口が残っています。といっても、デンマークはすぐ にナチスに降伏したため、コペンハーゲンは爆撃されることはなく、そのおかげで今でも美しい街が残されているのです。占領されてしまった前夜、たくさんの ユダヤ人たちを、デンマークの漁師や船乗りたちが船に乗せ、中立国であったスウェーデンまで逃れられるよう、海の上を奔走したそう。この公園の隣は、レジ スタンス博物館。ナチス占領下、戦ったデンマーク市民の記録です。

No comments:

Post a Comment