ゆうことヨーナスとブリーちゃん



コペンハーゲンに住んでいたとき。デンマークに渡って2ヵ月後の結婚式のあと、その2週間後に、彼は航海研修で4ヶ月、留守に。

そのとき、とてもさみしかったので、留守中、一緒に暮らしてくれる家族がほしい、と願ってました。捨て猫か捨て犬がいたら拾ってきてね、 と言い続けて1年くらい・・・・

ある日会社から帰ってきてお風呂場のドアを開けたら、ミーと、毛布にくるまれた兄妹のねこちゃんが2匹!感激でした。ヤコブが、捨て猫ホームズから買い取ってきてくれたのでした。

ヤコブと私のお互いの、いちばん昔からの大すきな友達の名前をつけよう、と決めて、ゆうことヨーナスにしました。

そして、ブリーちゃん登場・・・!

私の産休を機に、コペンハーゲンから、船乗りの町、スヴェンドボーに引っ越して1ヶ月ほどたったとき・・・・毎日のように、私たちの家に彼はやってきました。毛はぼさぼさ、耳はただれて、悲しそうに、ミー・・・・・と、大きな体に似合わないはかなげな声で言います。

ゴ ミ捨て場をあさっていたりも・・。ゆうこネコとヨーナスねこからは、よそもの!と、おそれられ、ゆうこネコからネコ・パンチされたりしても、毎日、めげず に、ミー・・・ とやってきて、おずおず・・・と、だんだんに家の中に入ってくるようになりました。最初は、ゆうこネコをいじめているのかと勘違いし、英語でいじめっこ、 という意味のブリー、と呼んでいました。

あまりにみすぼらしく、ケンカの傷跡だらけなので、てっきり野良猫と思い、よし!うちは、もう満員だけど、お世話してあげなくては!と、引き取ることにして、動物病院に治療に連れて行くことにしました。それが、もうとてつもない大騒動になるとは思わず・・・・。

車を発進したとたん、ミー・・・ミー・・・ と悲しそうになき、いいこ、いいことなでてあげたけれど、初めての車だったからか、震えて、その場で、ジョー・・・とおもらし・・!その次は、ブリブリ・・・(すみません・・)

かわいそうに、体中きたなくなって、動物病院に到着・・・。こんなにくさいにおい、生まれて初めてかいだ・・というくらい、くさかったです・・。このことから、いじめっこブリーじゃなくてブリブリのブリーちゃん、と、ますます名前が私のなかで定着・・。

動物のお医者さんに、すみません、どうしましょう・・と謝りながらブリーちゃんを紹介。でも、さすがお医者さん、洗っておきますよ、とさっぱりおっしゃいました。しかし、くさいですね・・・とも言ってたけど。

数時間後、迎えに行くと、ほのかにまだまだくさかったブリーちゃん・・・おなかと耳と皮膚に寄生虫、ケンカの傷だらけ、と、惨憺たる診察結果・・・たくさんの薬を処方されました。

ブリーちゃんの歩くところ歩くところ、掃除しなくてはならないほど、まだくさかったです・・・・。

でも、もう、すっかり、ブリーちゃんのことが不憫で、うちの子にしよう、と決意しました。と、ところが!

ブ リーちゃんは、なんと飼いネコだったのです。家で、てあつく看護していたら、だんだんに数日で元気になってきたブリーちゃん。そろそろ外に散歩に行きたい だろうな、と、ある朝、外に出したら、近所の人が、スプラット!と、ブリーちゃんを呼んでいるではありませんか。スプラットとはデンマーク語で、ブリブリ のこと・・・!!ということは、この人は、ブリーちゃんのブリブリぶりを知っている!?

でも、逃げ惑うブリーちゃん。私たちのネコですよ、 と、声をかけようとしたら、そこに居合わせた近所のおじさんが小声で、あの飼い主は、あのネコの世話を全然しないんだ。ひどい飼い主さ。と私に耳打ちして きたのです・・。どうしていいのか一瞬とまどう私の目の前で、ブリーちゃんは、その飼い主に抱えられて、行ってしまいました。じっと私を見るブリーちゃ ん。泣きそうになりました。

そのことをヤコブに話したら、ヤコブは 悲しみで真っ青になり、なんとベッドからその日起き上がれない有様。私も、悲しくて涙がでました。ブリーちゃんのことをちゃんと世話してほしい、もし世話 しないのなら私たちが引き取りたいよ、とヤコブに話しました。そこで2人で、どうしたらブリーちゃんを貰い受けることが出来るか、作戦を練りました。あん なにひどい状態で、えさもあまりもらっていないブリーちゃん、あの人のもとだったら絶対可哀想だ!!と、怒りとともに涙がわいてきてしまいました。でも、 ヤコブは、まっこうから、飼い主に、あなたはちゃんとネコの世話をしていないから私たちがもらいうける、と言ったって、逆効果かもしれない。。。でも、お 金を出すといったら、手放すかもしれない、と考えました。

ちょうどその日の夜、近所の人たちでバーベキュー・パーティーが開かれることになり、そこにあの飼い主さんもくることになることを聞きつけたヤコブは、交渉してくる・・・と、力をふりしぼり(おおげさ!?) 、出かけていきました。

一人待っていた私。悲しくて、パーティーなんて行く気になれませんでした。

すると、ドアのベルが鳴り、そこには、ブリーちゃんを抱っこした満面の笑顔のヤコブと、飼い主さんが!

飼 い主さんは、スプラット、さしあげます。といってくれました。 彼女は、2歳の男の子のママなのですが、色々と、彼氏(デンマークでは、結婚せずに子どものいるカップルが大多数。結婚という制度にとらわれたくない、と いう考えの人が多いのです)とうまく行かず、生活保護も受けていて、苦労している方でした。

動物の世話をきちんとしなかったのは間違っているけれど、彼女の境遇を考えると、ただ責めるだけの気持ちにはなれませんでした。

そして、ブリーちゃんは、なんと、その飼い主さんの彼氏のお布団にいつも、ブリブリ・・としていて、かなり嫌われてしまっていたようです。あまりなつかないし、ちょうど、引っ越すところだったから、私たちにあげます、と言ってくれたのでした。

それにしても、私たちの布団には一度たりとも、ブリブリ・・としたことのないブリーちゃん。わざとだったのだろうか・・!?わざと嫌われるようにしていたのだろうか!?それとも、本当に嫌いだったのかな・・・と、もの言わぬブリーちゃんに、聞いてみたくなります。

そんな経緯で、晴れて私たちの家族の一員となったブリーちゃん。ぐーちゃんの産まれる1ヶ月前の出来事でした。

今では、こんなに我が物顔でリラックス・・・・・ゆうこネコとヨーナスとも、仲良しになりました。毛並みもつやつや。近所の人に、きれいなネコですねえ・・・!といわれますが、あまりの変貌ぶりにかつてごみをあさっていたあのネコだと、気づかれていないようです。

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