ぐーちゃん3歳になりました Gustav became 3 year's old

7月1日。ぐーちゃん、3歳になりました。

特別な日だから、ひさしぶりに、みんなで出かけました。
レストランに行って、そして、こどもたちのためのアンデルセン記念館に行きました。
天井には、12羽の白鳥が飛んでいます。
今は、人魚姫の展示がやっていて、海の底のお城、船の中、こどもたちが思い思いに遊んでいました。
小さな野外劇場では、可愛らしいミュージカルがやっていて、アンデルセンと、童話の登場人物たちが歌って踊ってくれました。

3歳になって、レストランでもちゃんと座ってられるようになったぐーちゃん。

生まれたとき、陣痛が長すぎて、ぐーちゃんの呼吸が危ないということで緊急帝王切開でした。私は痙攣したまま、ぐーちゃんは取り出されたとき泣き声もあげられませんでした。
そのまま心臓マッサージされながら、医者と看護婦さん4人に付き添われ緊急搬送されていったぐーちゃん。ヤコブはそのとき、私に、大丈夫だよ、と言っていたのですが、本当は内心は、もしこの子が助からなかったら、めぐみになんて言えばいいのだろうと頭がくらくらしていたと後から言っていました。
私は、抱っこすることも出来ずに、意識を失った、そんな波乱万丈な出産でした。
でも、ぐーちゃんは搬送された、設備の整った病院で、1日で回復し、元気になってくれたのでした。
その後、無事に1週間で私もぐーちゃんも退院できました。
でも、私は帝王切開の傷口に細菌感染し、産褥熱という高熱が続き、立ち上がれないほどのお腹の痛みが続きました。そのため、また入院し、1ヶ月に10回、お腹を再度あけて手術。
何度手術しても、細菌がいなくなってくれず、はじめての育児の不安と体の痛みと、いつ治るのだろうという恐怖感、海外にいる孤独があいまって、精神的にも追い詰められました。
最後は、傷口も縫えず、あいたまま、大きな絆創膏をはって生活。産後の体をいたわる余裕は全くありませんでした。帝王切開は筋肉まで切るし、それを10回繰り返したので、痛くてたまらなかったけれど、おむつ替えに授乳に家事とまったなしだし、起き上がらないわけにはいきませんでした。
起き上がるたびに、頭の中で、この子のために！と掛け声をかけないと出来なかったほど(笑)、本当に痛かったです。
出産直前まで、デンマークの会社の会社員として、産休が取れる臨月まで働いていたので、日本で出産するわけにはいかなかったこと、産休直前に当時、世界的不況で、会社内にリストラの大嵐が吹き荒れたことが大きなストレスになったこと、駐在員から現地社員に切り替えるにあたり引っ越さなくてはならず、身重での遠距離通勤がこたえたこと、出産直前に義父が脳溢血で倒れ、結局、出産2週間位前に他界したこと、海外で、そして出産の2ヶ月前に、知り合いの全くいない新しい街に引っ越さなくてはならなかったり、当時、航海士だったヤコブは1ヶ月航海でどうしても留守しなくてはならなかったり・・・・と、難しいことが重なり、慣れない場所で不安でとても孤独だった、出産の前後。
自分が病気のときも頼れる人は近くに誰もいなかったり、もがいても、思うようにうまく体制を整えられなかった、辛い出産・産後でした。

でも、もうその日から3年もたったのだなあと驚きます。
そして、その間に、人の優しさ、あたたかさ、悲しさ、幸せがことさらに心にしみるようになりました。
人には、どうしようもなくて、もがいても、うまくいかないことがあって、でもそれは、きっと人の優しさ、悲しみ、痛み、しあわせを知るきっかけなのだということに気づきました。
今では、ぐーちゃんも大きくなり、優しい元気な子になってくれています。そして私には、近くに住む優しい友達も出来ました。日本にいる友達も、かわらず、あたたかに優しくメールをかわし、1年に1度会えるのを楽しみにしてくれています。

ぐーちゃんが無事に元気に大きくなってくれて、それは実は奇跡のような幸せなのだと思います。
本当にありがとう。
そして、ぐーちゃんと、私を見守ってくれている優しい人たち・・みんなに、本当にありがとう。