夏の大焚き火



6 月 23 日は、夏の大焚き火の日。海沿いのあちらこちらで大きな火が焚かれ、それを見物する人々、ボートやヨットに乗って眺める人々が集まり、

陽気な音楽が流れる楽しい日・・・・。私たちの結婚記念日でもあります。

ぐー ちゃんは興味津津、大きな炎を眺めていました。帰りは夜の10時半になって、乳母車で眠るだろうと思っていたのに、絶対に寝まいと乳母車のはしにかじりつ いて外を眺めてました。家に着くまでの道、ついにすわったまま、ぐわんぐわんと船をこぐぐーちゃん。 それでも横になりたがらず、あくまで乳母車のはじに手をおいた姿勢。よっぽど面白かったのかな・・・。

最近知ったのですが、ぐーちゃん一人の保育園費用に、一ヶ月に約24万円ほど、国が払っているそう。私たちは月に2万円(私たちの収入に応じて決まった金額です)くらいだけ払っています。その差額はぜんぶ国が払ってくれているのです。
どの保育園でも同じです。国民一人あたりに充てられている教育費は、デンマークが世界一だそう。
この教育費は、税金でまかなわれているけれど、 赤ちゃんのときから、それこそ老人になるまで、生涯、教育が誰にでも無料に、同じ機会与えられていて、人々はそれに満足しています。
だから、税率を下げることに国民が反対するわけです。

このあいだ、テレビで中国の小学校のドキュメンタリーを見ました。8歳の子どもたちのクラスで、学級委員を選ぶ様子が紹介されていました。3人の子どもたち、A君、B君、Cちゃんが立候補。
と はいえ、どの子も、親におされて。A君は今までずっと学級委員をつとめてきた子で、パパが裕福。クラスメートたちの前での選挙演説のためのスピーチの言葉 も、おじぎの仕方も、戦略もぜんぶ3人とも親のほうが夢中。B君は、A君がどうせ勝つんだからいやだよ・・とこぼしていたけど、親も先生も、今あきらめた ら、このあとの人生やっていけないぞ!と叱咤。
A君のパパは、"よし!いい考えがあるぞ!クラスメート全員分のモノレール・チケットをパパが買っ てあげよう。モノレールは最もモダンな乗り物だぞ。そうすれば、おまえは尊敬されるだろう。"と言って、A君はクラスメートと先生までモノレール見物に連 れ出します。対するB君のパパママの戦略は、"A君は独裁者だ、と言いなさい。おまえが当選したら、民主主義のクラスになる、とスピーチしよう"と、ス ピーチをつくり、B君に暗記させます。なんども練習するB君。対するCちゃんは、ママに叱咤されて、クラスメートの耳に、A君B君の悪口を言いふらしま す。

最後の決戦の日。選挙当日、B君は、"みんな、A君が当選したら、また肩をこずかれて、命令されるんだよ。彼は独裁者だ!" とスピーチ。対するA君は、そのスピーチに気おされます。でも、A君のパパが家で言い聞かせたとおりに、スピーチ。"みんな、明日からは夏休みですね。そ こで僕からみんなにプレゼントがあります"と、パパに渡されていた、ピンクのギフト券をクラスメート全員に配ります。

その後投票。結果は、A君の当選。B君、Cちゃんは大泣き・・・なぐさめる先生は、また、 今くじけたら、このあとの人生やっていけないぞ!と叱咤。

そして学級委員にまたなったA君は、クラスメートに怒鳴って命令し、肩をこずいて、まっすぐに並ぶように命令・・・

この子達は8歳。

ひ とつの小学校のひとつのクラスについてだから、中国のどこもこうだとは限らないと思います。でも、この子どもたちは大人たちの社会の鏡だとも思います。す ごい競争社会なことに、デンマーク人ヤコブ、イエッペともに、絶句・・。A君がプレゼントを配ったら、たくさんの子どもたちがぱっとA君を支援したことに も驚きました。大人の政治もこんなふうなのでしょうか。賄賂や腐敗政治が横行しているのは、小さなころからなじんでいることなのでしょうか。私の認識不足 かもしれないけれど・・・・

デンマークの学校では、自分が勝つのではなく、クラス全員みんなを引き上げる、一緒に伸びることを目指している そう。たとえば、クラスの中で算数が不得意な子どもたちは、少人数クラス編成にして、十分追いつくまでフォロー・アップされるそうです。でも、だからと いってそれがみんなより劣るとは全く考えられていないそうです。それぞれの子がみな得意、不得意なことがあるのは当たり前だし、人と比べるのではなく、自 分を見て、自分の能力をみんなと助け合いながら伸ばすことに重きがおかれます。理想主義ではなく、本当にそんなふうに教育されているのです。

そして、一人ひとりがリーダー・シップを持てるように、自分で考えて行動することに重きがおかれます。

そして教育費はすべて無料。

デンマーク人が、世界でも最も有能な労働力を持っていると国連の統計・調査で認定されたのも、このような教育が背景にあると思います。

ま た、デンマーク軍も、世界でもトップレベルの有能さを持っているそうです。そして、米軍とのカルチャーの違いはとても顕著です。米軍は、上官の命令が絶 対。上官の命令なしには動けません。デンマーク軍は、一人ひとりが自分で考え、行動し、必要な場合には状況にそったベストな判断をし、リーダー・シップを もって行動できるように訓練されているそうです。

私の母はピアノ教師でしたが、生徒の子どもたちのママたちのなかには、"あの子よりうまく 弾きなさい"と言ったり、"どうしてうちの子の発表会の曲はあの子の曲より簡単なものを選んだんですか"と聞いたりしていたママもいることを、小さかった 私は聞いたことがあります。日本もやっぱり競争社会です。

背景、歴史、文化、社会構造、経済・・・ 一概にどうしてかはいえないし、競争社会が悪いことだとも一概には言えないかもしれません。

でも、デンマークの子どもたちは世界でいちばんラッキーだと、この国に住んで、考え、思うことがどんどん深まってくるのです。犯罪がとても少ないのも、子どもたちが子どもでいることが出来て、人と比べて劣等感に押しつぶされ ず、受験の不安にさいなまれず、自分の能力・適性に気づき、伸ばしていける機会が十分に与えられているから、幸福な大人になるから・・だと思うのです。

そして、デンマークでは子どもをたたくことは違法です。

もうひとつ、最近知ったこと・・・

ヤ コブが、国からXXクローネ返ってきたよ~と嬉しそうに先週言っていました。国の経済がとても好調だった数年前、経済がオーバーヒートすることを防ぐた め、国民一人ひとりが収入に応じた金額を国に支払うよう指示されたそうですが、そのお金はずべてきちんと貯金され、世界が不況でデンマークもその影響を受 けている今こそ、経済を活性化させるために、そのときのお金がみなに最近返されたそうです。実際、このお金は経済の活性化に貢献しているそう。

国民のお金がきちんと賢く管理・運用されている背景には、腐敗政治がないことがあり、腐敗政治がない背景には、教育がある・・・そんなふうに感じます。

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